? Guys and Dolls

蒼天幻想

第三章(5)

ヴィクトール達と合流した一行は、とりあえず倒れたルヴァをホテルへと運び込みベットで休ませる。

その後ランディを留守番にして、四人はゼフェル達を見失った街の中心まで足を運んだ。

「――悲鳴が聞えたのでそちら見ると、ゼフェル様がマルセル様の腕を掴んでこの路地に駆け込むところだったんです。慌てて後を追ったのですが、何せ馴れない土地だしかなり入り組んだ路地だったので、こちらが迷子になりかけました」

申し訳なさそうに告げるヴィクトールに、オリヴィエは軽くウインクをして驚かせる。

「アンタの所為じゃないよ。どーせ、ゼフェルのことだから、誰かに喧嘩でも売って追っかけられたんだろうと思うよ。……ほんっとに成長しないね、あのガキンチョは」

「――しかたがない。俺はこの辺の人間に話を聞いてみよう。オリヴィエ、おまえも頼んだぞ」

「オッケー! ところでさ、オスカー。民族衣装いつ買ってくれるのさ?」

「……覚えてやがったか」

 

四人が部屋に戻ったのは、夜になってからだった。

オリヴィエは両手に色鮮やかな服と、それに合わせた異国風の首飾りを四本程手に入れて、ご機嫌な様子でホテルに戻ってきた。

それに続いたオスカーは少し疲れたように肩を落として部屋に入る。ヴィクトールとチャーリーは気の毒そうにオスカーを見ていた。

「お帰りなさい、どうでしたか?」

「ルヴァ、アンタこそ大丈夫なの? 無理しないで寝てなよ」

読みかけの本を閉じ、起き上がってお茶の用意を始めたルヴァに、オリヴィエは慌てて声をかける。

「私なら大丈夫ですよ。自分の故郷なんですから、あたりまえですけどね」

「その故郷で真っ先に倒れたのは誰なのさ。とにかく、アンタは休んでなって。こんな事、あの坊やにやらせればいいんだからさ」と、振り返ると、あの坊やことランディはソファにうずくまってすうすうと寝息を立てていた。

「疲れているんですよ……私達が来るまで緊張しっぱなしだったみたいですからね、安心したんでしょう」

ルヴァはいつもと変わらず、穏やかに微笑んでランディを見つめた。チャーリーはソファの背もたれにかけてあったマントを、そっとランディの上にかけてやる。

「自分が全部悪いんだって、随分悩んではりましたからなぁ。自分が話し込んでたからゼフェル様達を見失ったんやて。ここに来たんもそうで、ゼフェル様を止めなあかんかったのに、自分も一緒になって悪乗りしたからこんなことになってしもうたって落ち込んでましたわ。……ほんま真面目やなぁ」

 

オリヴィエは、衣装をいそいそとカバンに詰め込み始め、チャーリーはまめまめしく夜食の支度にとりかかった。

オスカーとヴィクトール、それにルヴァはテーブルを囲んで座り、ルヴァが用意したこの星の特産のお茶を啜りながら、今までの捜査の結果を話しあう。

「――では、ゼフェルらしき少年を見た人がいるのですね?」

「ああ。特徴からいって多分間違いはないと思うぜ」

ルヴァはほっとしたのか、瞼を閉じて黙り込む。

「ただその目撃者と言う本人から聞いたわけじゃないんだ。その人の知り合いだという人物からのまた聞きなんで、あまり詳しいことは聞けなかった」

オリヴィエも片づける手を休めずに、会話に参加する。

「だから本人に聞いたほうがいいと思ってね。明日の夜会うことにしたんだよ」

「何故、夜なんですか? 昼間の方がすぐに行動できると思うのですが」

ヴィクトールは、ベットの上でスーツケースと悪戦苦闘するオリヴィエを振り返った。

「彼女は昼間は都合が悪い……らしい」

オスカーは意味深な台詞をポツリと漏らした。