? Guys and Dolls

蒼天幻想

第二章(8)

「――最近さー、みんな変だと思わない?」

レイチェルは、庭園のカフェテラスでティーカップを口に運びながら、目の前の少女に問いかける。

「そう? 確かにお茶会の予定をキャンセルされたりしてたけど……。お忙しいからじゃないのかしら」

「あの人達が変わっているのは、今に始まった事じゃないさ。それ位女王試験の時に嫌というほどわかったはずだけど?」

優雅にお茶を飲みながら、セイランはいつもの口調で答えた。

「……そういう事をアナタが言うンだ」

「なに? 聞えないよ。自分の意見ははっきり口にしたほうがいいね。お互いに気分が悪いし、何より君は新宇宙の補佐官になるんだから、自己主張はしっかりとしないとね」

場の雰囲気が寒々としてきたのを感じて、アンジェリークはケーキを突っつく手を止め、別の話題を振ってみる。

「あの――セイラン様はいつまでこちらにいらっしゃる予定ですか?」

「それはどういう意味の質問? 女王試験は終わったし、教官としての勤めも終了したのにいつまでいるつもりなんだ、って聞きたいのかい?」

「い、いえ。そういうつもりじゃないです。出来ればいつまででもご一緒したいけど、セイラン様だってお忙しいだろうし、ご予定もあるんじゃないかと思っただけで…」

アンジェリークがしどろもどろに答えるのを、セイランはしばらく観察し、軽く吹き出すと微かに微笑む。

「冗談だよ。そんなにムキになって言い訳しなくてもいいよ。僕は僕自身にしか支配されない。何をするにもどこへ行こうともね。だから僕が他の場所に興味を持った時が、聖地を離れる時なんだ。でも、それは今の僕には想像できないし、予想も出来ない。明日その時は訪れるかもしれないし、もしかしたら1週間後かもしれない。……今の僕に答えられるのはこの位だよ」

まるで答えになっていないセイランの物言いに、レイチェルはだいぶ馴れていたが、アンジェリークは相変わらず真顔で考え込む。

「わかったような、気がします」

「――へえ。凄いね、アンジェリーク。僕にすら理解できない僕の心の動きが君にはわかるんだ。さすがは新宇宙の女王陛下だね」

「え、あ、ありがとうございます。セイラン様に誉めていただけるなんて」

パッと嬉しそうに頬を染めて答えるアンジェリークのわき腹を、すっと側に寄ったレイチェルが肘で軽く突く。

『アナタ馬鹿にされてンだよ。あれ、ゼンゼン誉め言葉じゃないって!』

『だ、だってすごいって……』

『もーっ。相変わらず鈍いンだから!』

こそこそと目の前で囁きあう2人を、少し皮肉っぽい笑顔を浮かべたままセイランは見つめていた。

「――本当に、ここは興味深い出来事で一杯だよ。聖地が退屈で仕方がないから外界に遊びに行くなんて言ってる人の気持ち、僕にはわからないな。こんな個性の集合は、どんな場所に行っても見られるってものじゃないのに」