? Guys and Dolls

蒼天幻想

第二章(4)

「どうでしたか、荷物……っわーっっ!! な、なんであんたがたがここにおるんやー!!」

チャーリーはにこにこと振り向いた途端、コーヒーカップを派手に床に落とした。

「うわっ! あぶねーじゃねーか、この野郎!」

「喧嘩売ってどうするの、ゼフェルっ!」

「んだと! だいたいおめーがちょこちょこ歩き回ったから見つかっちまったんじゃねーか!」

「だって、お腹空いて死にそうだったんだもん」

「2~3日食べなくたって死にゃーしねーよっ!」

「ゼフェル、マルセルだって悪気があったんじゃないだろ。それに遅かれ早かれ見つかっていたよ。おまえの持ってきた食料はもうないんだから」

「ったりめーだろ! 1人分なんだよっ!」

ゼフェル、マルセル、ランディの年少守護聖は、悪びれもせずにチャーリーの前でいつものどつきあいを始めた。

「――というわけだ、チャーリー。これが重量オーバーの原因だったということだ」

「……何でそないに落ち着いたはるんです?」

「俺はさっき充分驚いた」

「は、さよか。……ハハハ」

ヴィクトールの諦めたような答えに、チャーリーは乾いた笑いを浮かべた。

 

「仕方がない、主星に戻ろう。オートを切ってくれ、俺が操縦する」

「え、今から戻るんです?」

「守護聖様方をお連れするわけには行かないだろう? 今から戻れば燃料を積み直しても、その日の内には出発できる」

「はぁ。ですけど……」

「なんだ、なにか問題でもあるのか?」

ヴィクトールはけげんそうにチャーリーを操縦席から見上げた。チャーリーはひどく言いにくそうにもじもじしていたが、悩んでも仕方がないと開き直ったのだろう。うん、と力強くうなずくとはっきりと言い切った。

「実はなぁ。ないんですわ、行きの分しか」

「何がだ?」

「燃料が」

「……なんだと」

動きが止まるヴィクトールに、畳みかけるようにチャーリーは続けた。

「これから行くところは燃料の宝庫だし、荷物は少ないほうがええてヴィクトールさんがゆうとったから、帰りの燃料は積んでへんのですわ。今、主星ではマタルは貴重品になってしもたから、帰りは現地調達すればええかなぁと……」

「……まだ半分進んだだけだ。今からなら残りの燃料で主星にぎりぎり帰れる」

「それが……ついさっき半分越してしもうたんや。いやー、最近の自動操縦は優秀ですわ」

ヴィクトールは肩に何かがのし掛かってきたように感じ、思わず頭を押さえる。

『燃料の最終確認を怠るなんて。なんて初歩的なミスをしているんだ、俺はっ!』

反対に元気を取り戻したのは、三人の少年達だった。

「って事は、マルドゥークに行けるんだな? っしゃあ!!」

「ルヴァ様の故郷に行けるなんて。最初は不安だったけどここまで来たら何だかドキドキしてきたよ」

「あ、俺、お手伝いしますよ、商人さん! 力仕事は得意だし、ただで乗せてもらうわけにも行かないですから」

「おおきに。ほな、その荷物を倉庫に運んどいてくれへん?」

「わっかりましたーっ!」

すっかり自分のペースを取り戻したチャーリーと少年達を、ボーッとうつろな目でヴィクトールは見つめ、ただただ黙り込むしかなかった。