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「どうでしたか、荷物……っわーっっ!! な、なんであんたがたがここにおるんやー!!」
チャーリーはにこにこと振り向いた途端、コーヒーカップを派手に床に落とした。
「うわっ! あぶねーじゃねーか、この野郎!」
「喧嘩売ってどうするの、ゼフェルっ!」
「んだと! だいたいおめーがちょこちょこ歩き回ったから見つかっちまったんじゃねーか!」
「だって、お腹空いて死にそうだったんだもん」
「2~3日食べなくたって死にゃーしねーよっ!」
「ゼフェル、マルセルだって悪気があったんじゃないだろ。それに遅かれ早かれ見つかっていたよ。おまえの持ってきた食料はもうないんだから」
「ったりめーだろ! 1人分なんだよっ!」
ゼフェル、マルセル、ランディの年少守護聖は、悪びれもせずにチャーリーの前でいつものどつきあいを始めた。
「――というわけだ、チャーリー。これが重量オーバーの原因だったということだ」
「……何でそないに落ち着いたはるんです?」
「俺はさっき充分驚いた」
「は、さよか。……ハハハ」
ヴィクトールの諦めたような答えに、チャーリーは乾いた笑いを浮かべた。
「仕方がない、主星に戻ろう。オートを切ってくれ、俺が操縦する」
「え、今から戻るんです?」
「守護聖様方をお連れするわけには行かないだろう? 今から戻れば燃料を積み直しても、その日の内には出発できる」
「はぁ。ですけど……」
「なんだ、なにか問題でもあるのか?」
ヴィクトールはけげんそうにチャーリーを操縦席から見上げた。チャーリーはひどく言いにくそうにもじもじしていたが、悩んでも仕方がないと開き直ったのだろう。うん、と力強くうなずくとはっきりと言い切った。
「実はなぁ。ないんですわ、行きの分しか」
「何がだ?」
「燃料が」
「……なんだと」
動きが止まるヴィクトールに、畳みかけるようにチャーリーは続けた。
「これから行くところは燃料の宝庫だし、荷物は少ないほうがええてヴィクトールさんがゆうとったから、帰りの燃料は積んでへんのですわ。今、主星ではマタルは貴重品になってしもたから、帰りは現地調達すればええかなぁと……」
「……まだ半分進んだだけだ。今からなら残りの燃料で主星にぎりぎり帰れる」
「それが……ついさっき半分越してしもうたんや。いやー、最近の自動操縦は優秀ですわ」
ヴィクトールは肩に何かがのし掛かってきたように感じ、思わず頭を押さえる。
『燃料の最終確認を怠るなんて。なんて初歩的なミスをしているんだ、俺はっ!』
反対に元気を取り戻したのは、三人の少年達だった。
「って事は、マルドゥークに行けるんだな? っしゃあ!!」
「ルヴァ様の故郷に行けるなんて。最初は不安だったけどここまで来たら何だかドキドキしてきたよ」
「あ、俺、お手伝いしますよ、商人さん! 力仕事は得意だし、ただで乗せてもらうわけにも行かないですから」
「おおきに。ほな、その荷物を倉庫に運んどいてくれへん?」
「わっかりましたーっ!」
すっかり自分のペースを取り戻したチャーリーと少年達を、ボーッとうつろな目でヴィクトールは見つめ、ただただ黙り込むしかなかった。