?
結局、年少守護聖の三人は、メルを連れてルヴァの執務室に向かう事になった。そこでルヴァとオリヴィエと待ち合わせ、みんな揃ってリュミエールの館に向かう予定なのだ。
アンジェリークとレイチェルは、直接リュミエールの館に向かったはずである。
少女二人は、女王候補時代の寮で今も生活している。
安定しないとはいえ新宇宙を生みだした女王と補佐官なのだから、聖殿で暮らすようにと指示はあったらしい。
しかし二人はここの方が落ち着くから、とやんわりその申し出を断った。
もうすぐ二人だけの、女王と補佐官としての生活が始まる。残された僅かな時間を普通の女の子として過ごしたい。
それは二人の少女の、ささやかな我が儘だった。
ゼフェル達がルヴァの執務室の扉をノックすると、中からは何も返事がなかった。
「まーた本でも読みふけって聞えねーんじゃないか? ったく、あのおっさんはよ」
ブツブツ言いながら扉を開けると、中はもぬけの殻だ。本棚の影を覗き込んでも誰もいない。ゼフェルは肩をすくめると、きょろきょろと周りを見回すマルセルを振り返った。
「よー、マルセル。っんとにここで落ち合う約束なのか? いくらあのおっさんが抜けてるったって、約束ほったらかしてどっかに行くよーな奴じゃねーぞ?」
「まちがいないよね、ランディ。ルヴァ様は、一緒に行きましょうっておっしゃってたよね?」
「うん、俺も聞いてたから間違いないよ。それにしても変だな。オリヴィエ様もいらっしゃらないなんて」
ランディは手を腰に当てて首をひねる。
部屋の中から外の様子をうかがっていたメルは、恐る恐る三人に話しかけた。
「ねぇ……メルの勘違いかもしれないんだけど。……静かすぎない?
いつもはもっと賑やかなのに、今日は怖いくらいに静かな気がするよ」
「そう言われてみれば。ねぇランディ、オスカー様達はいらっしゃるのかな?」
マルセルの問いかけに、ランディはあっという間にルヴァの執務室を飛びだし、炎の守護聖の執務室の扉をせわしなく叩いた。
「オスカー様、ランディです。……いらっしゃいますか?」
返事を待たずに扉を開けると、そこはルヴァの部屋同様主はいなかった。
「ジュリアスさま~。メルで~す! 入ってもいいかなぁ?」
メルは転がり込むように中に入ると、すぐに廊下に出てきてマルセル達に首を振る。
「だめ~。ジュリアス様もいないよ~! どこいっちゃったんだろ?」
「ここがいなけりゃ、決定的だな。……入るぜ、クラヴィス!」
ゼフェルは軽く息を吸い込むと、思いきって扉を押し開け中を覗き込んだ。
暗い部屋に段々と目が馴れ始める。
ランディ達が駆け寄ると、ゼフェルは皮肉っぽく笑った。
「これで決まりだな。何かあったんだ。おおかた謁見の間にでも勢ぞろいしてんだろーぜ」
バンッと乱暴に扉を全開する。
ぼうっと光る水晶球の前に闇の守護聖の姿はなかった。