疵痕

(4)

いつの間にか腰を揺すり始めて喘いでいるロザリアに気がついたオスカーは、薄く笑いながら指の動きを止めた。あと少しで絶頂を迎えそうになっていたロザリアは、急に止められた快楽に胡乱げに目を開け、物欲しそうにオスカーを見上げた。

そんな彼女にオスカーはかすかに微笑んでみせると、改めて下着をはぎ取った。そして彼女の中にもう一度中指と薬指を埋めると、滴り落ちそうな程の蜜をたたえた泉の入口を押し広げ、すでに硬くそそり立っていた自身をあてがって半分ほどを一気に押し込んだ。

「ぁんっ!」

ロザリアが悲鳴に近い声を上げて背を仰け反らせると、オスカーは彼女を拘束していた手を素早く離した。

だからロザリアはオスカーを半分飲み込んだまま上体を起こし、ちょうど彼の上に座り込むような形になってしまった。

「あ……」

オスカーを見おろすロザリアの瞳は濡れていて、唇を半開きにして吐息を漏らす艶を含んだ表情を見上げたオスカーの背に、ぞくりと怪しい快感が駆け抜けた。

このまま勢いに任せて彼女を組み敷き突き上げたいと思ったが、それをぐっと堪えオスカーはゆっくりと腕を伸ばすとロザリアの両手をとり、細い指に自分のそれを絡ませて優しく握りしめた。

「このまま……腰を落とせるか?」

ロザリアはその問いに僅かに目をむいたが、オスカーの穏やかな瞳と優しいが力強い手の温もりに安心したのだろうか、ためらいがちに一度うなずくと、そろそろと太股を動かしてオスカーの上に腰を落とし始めた。

「は……あ……っ。……んんっ……」

オスカーが少しずつ分け入ると、ロザリアから溢れ出した蜜が粘着質の音を立てた。それが恥ずかしくてロザリアは耳を塞ぎたかったが、オスカーに両手を優しく拘束されていてそれはかなわない。「手を離して欲しい」と言おうと思ったが、うっかり口を開くと快感によがる声しか漏れなさそうだったので、ロザリアはただひたすら、オスカーを総て飲み込むことに没頭しようとした。

そうしてそれがかなうと、ロザリアはオスカーの方へ身体を倒し安堵のため息を漏らした。だが、オスカーが少しだけ腰を揺すり上げたとたん、敏感になっていた宝玉が擦られたので、ロザリアは嬌声を上げて軽く達してしまった。

ロザリアの中がぎゅっと収縮したのを感じたオスカーは小さく呻いたが、すぐに自分の上で肩を激しく上下させるロザリアの背をそっと撫でて苦笑した。

「やっぱり、今日は感じやすくなってるんだな」

「ち……がう、わ。あ……なたが、意地悪ばかり……する、から」

「意地悪? こういうことか?」

「ああっ!」

突き上げるように腰を揺すり上げると、ロザリアはびくりと身体を震わせた。思わず立てた爪がオスカーの胸板に紅い痕をうっすらと残したが、ロザリアにそれを気にする余裕はなかったし、オスカーも気に留めるつもりはなかった。

そうしてロザリアの背に腕を回したオスカーは、彼女を抱きしめたまま身体を横倒しにした。そしてもう一度身体を回し改めてロザリアを見下ろす形で組み敷くと、彼女の唇をそっと噛んだ。

「意地悪だというが、言わせてもらうとさっきから君ばかり気持ち良くなっている。ずるいと思わないか?」

「ず、ずるいって……そんな」

「だから……今度は俺の番だ」

「え……?」

オスカーの言葉にロザリアが驚いたような表情を浮かべたが、オスカーはそれを気にした風もなく、彼女の太股に両手を伸ばして持ち上げると、繋がった部分が目の前に来るように彼女の足を自分の両肩に乗せた。

腰を持ち上げられ、おそらくオスカーの目の前に秘所がさらけ出されたのだと気がついたロザリアは、これ以上ないほど顔を真っ赤に染めて叫んだ。

「やあっ! オスカー、いやぁ!」

だが彼女の叫びを無視したオスカーは、そのまま彼女の身体を折り曲げるようにして身体を押しつけると、緩急をつけながら腰を動かし始めた。

いつもと違う場所、いつもよりも淫らな体勢、いつもよりも丹念に思えるオスカーの愛撫に、ロザリアはやがて我を忘れ始めた。ただひたすら、与えられる快楽に身体を震わせ、声を上ずらせた。

「は……っあ……ああ……んっ」

「……はっ……結局、君の方が……気持ちよくなってるわけか……」

オスカーの吐息混じりの嫌みとも取れる戯れ言も、ロザリアには届かなかった。ただオスカーの動きに合わせて腰を振るい、艶のこもった喘ぎと蜜を溢れさせて行為に溺れていた。

「まぁ……こんな君を見れるのは、俺だけだから……なぁ、そうだろう……ロ、ザリア……」

小さく呻いてさらに奧を抉ると、ロザリアは白い喉を仰け反らせて戦慄いた。彼女の限界が近いのを感じたオスカーは、改めて白く滑らかな太股を抱きかかえると、容赦のない律動を繰り返し始めた。

やがてロザリアは足の先まで電流のような快感が走り抜けるのを感じ、たまらず啼き声を上げた。その刹那に温かいものが胎内に注ぎ込まれたのを感じ、ロザリアは満足そうな笑みを浮かべて意識を手放した。