疵痕

(3)

「きゃあ!?」

小さな悲鳴を上げたロザリアは、オスカーに覆い被さるように抱きついた。そうして腕の中に収まった彼女の頭を、オスカーが慈しむように数度撫でてやると、やがてロザリアは小さな嗚咽を漏らし始めた。

しゃくり上げるロザリアをなだめるように肩を抱き寄せ、髪に撫でながら軽いキスを繰り返しているうちに、彼女の身体から緊張が解けていった。それに気がついたオスカーはわずかに微笑むと、ロザリアの耳元に唇を寄せてささやいた。

「すまなかった。俺が余計なことをしたばっかりに、驚かせてしまって」

「ほんとうに……?」

「ああ、この通りなんともない。大体、炎の守護聖が火傷なんて格好悪いだろう」

言って小さくウィンクするオスカーを見上げ、ロザリアはようやく顔をほころばせた。だがすぐに唇をきゅっと噛みしめると、うつむきがちに視線を落とした。

「……ごめんなさい」

小さくつぶやくロザリアの頭をそっと抱き寄せて髪を梳きながら、オスカーは小さく被りを振った。

「君が謝る必要はないさ。この通り俺はピンピンしてるし、そもそも俺が君におかしなことをした所為だからな。まぁ……自業自得、ってとこだ」

「……ふふっ。そう、ね」

珍しく自分の非を認めるオスカーの言葉に、彼の胸に頬を寄せたままロザリアはくすくすと笑った。そして先ほどまでよりも少し力がこもるオスカーの腕の温もりに安堵したように目を閉じた。

 

しばらく互いの体温を感じ合っていた二人だったが、不意にオスカーが大きなため息をついたので、ロザリアは怪訝そうな表情を浮かべて僅かに顔を上げた。

「……どうなさったの?」

するとロザリアの問いかけにやや恨めしげな視線を向けたオスカーは、もう一度ため息をついた。

「どうって……この状態で、ただ黙って君を抱きしめているのは、かなり拷問に近いと思うんだが」

しかしロザリアは、オスカーの言葉に一瞬不思議そうに目を見開いただけで、彼がなにを言わんとしているのかわかっていない様子だった。だからオスカーはもう一度小さくため息をつくと改めてロザリアをそっと抱きしめ、白い耳朶を噛みながら左手を滑らせて彼女の盛り上がった尻をくっと掴んだ。

「きゃっ!」

驚いて上体を仰け反らせるロザリアを下から眺めながら、オスカーは口元に笑みを浮かべた。そのなにかを企んだような微笑にロザリアはぞくりと身体を震わせたが、じっと見つめてくる彼のアイスブルーの瞳にいつの間にか囚われて、目を逸らせなくなってしまった。

頬に伸ばされたオスカーの右手が、顎を伝い首筋に触れた。その感触に首をすくめて目を細めたロザリアの耳まで指を滑り上げると、彼女の唇が僅かに開き吐息が漏れた。それを見逃さずにオスカーは伸ばした手でロザリアの顎を掴んで引き寄せ、艶やかに光る唇にむしゃぶりついた。

執拗に揉みしだかれ、吸い上げられて朱い花びらがいくつも散らされた白い胸の膨らみが、オスカーが先端の突起を噛むたびに大きく揺れた。

何度も感じている感覚のはずなのに、オスカーに触れられるたびまるで初めての時のようにロザリアは身体を震わせた。

いつも触れられているのに……。もう慣れたはずなのに……。

そのたびに身体中が、まるで火傷でもしたかのように熱くなるのは……何故?

 

「あ……あっ……や……あっ……」

まだ胸元にしか触れていないというのに、いつもよりもずっと早く息を荒げているロザリアの様子に、オスカーはゆっくりと乳首から口を離すと小さく微笑んだ。

「いつもと場所が違うから……感じてるのか?」

オスカーの言葉にロザリアは驚いて彼を見おろした。だが指摘されたことで、自分の反応が常より早いことに気がついたのだろう。かあっと顔を真っ赤に染めると、オスカーから視線を逸らして上体を起こしかけた。

「ば、馬鹿なことをおっしゃらないで!」

言った途端、ここが自分の執務室であることを思いだし、また窓こそ閉まっているものの半分開いたカーテンの向こうに沈みかけた太陽を認め、まだようやく夕方になったばかりだと気がついたロザリアは、慌ててオスカーから離れようと身体を起こした。

だがオスカーが許すはずもなく、ロザリアの両腕を素早く掴むと再び自分の上に抱き込み、上半身こそむき出しにされたもののまだ彼女の腰に巻き付いていたスカートを後から素早くたくし上げると弾力のある太股を自分の腰に巻き付けるように引き寄せて、下着の脇から彼女の足の付け根に手を滑り込ませた。

「あっ!」

びくりと背中を仰け反らせるロザリアを左手で押さえつけオスカーは、すでに蜜が溢れ出してきていた彼女の泉に、勢いよく中指と薬指を滑り込ませた。そしてぷっくりと起きあがっていた宝玉を、人差し指の腹で丹念に撫で上げた。

「ひっ! あ……あ、やっ…め、て……ぇっ……ああ……っ」

上半身を左手で押さえつけられ身動きが取れず、後から侵入してきたオスカーの男らしい太く長い指に激しくかき混ぜられ、襞を何度も擦り上げられ、むき出しになった敏感な突起をつまみ上げたり撫で上げられて、ロザリアはもはやなにも考えられなくなっていた。

ただオスカーにすがりつき、彼が与えてくる快感に反応して嬌声をあげるしかできなくなってしまった。