magique petit chat

(12)-土の曜日-

「オスカー様ぁ!」

元気な二人の女王候補の声に、屋敷への道を足早に進んでいたオスカーは足を止めて振り返った。

「これからリュミエール様のところでお茶会があるんですけど、よかったらご一緒しませんか?」

駆け寄りながら一気に話すアンジェリークの様子に笑みを浮かべつつ、オスカーは軽く首を傾げた。

「可愛らしい二人のお誘いだから断りたくないんだが……今日は先約があってね」

「先約って……今からお屋敷に帰るトコだったんでしょ?」

呼吸を整え終わったレイチェルは、不満げに腕を組んでオスカーを見上げた。

「オスカー様、上手いことばっかり言っちゃって。ホントは、ワタシたちに付き合うのが面倒なんじゃないの?」

「そんなことはないさ。本当に先約があるんだ……結婚記念日なんでね」

にこっと笑いながらオスカーが言うと、アンジェリークが「あっ!」と小さく叫び口元に手を添えた。と、レイチェルも、「なーんだ」と呟きながら軽く頭を掻く。

「ロザリア様が相手じゃ勝ち目ないかぁ。りょーかい、今日は諦めます。けど、次は私たちに付き合って下さいね♪」

「ああ、わかった」

オスカーはそう言って笑うと「じゃあ、みんなによろしくな」と言い残し、踵を返してまた足早に歩き出した。

 

「オースカー様ぁ!」

去っていくオスカーの背中に、アンジェリークが大声を上げる。

「今度、ロザリア様とのなれ初めとか、いろいろ教えて下さいねーーっ!」

アンジェリークの言葉に、オスカーは振り返らずに軽く手を上げて振ってみせた。

おわり