プライベートスペースは、執務室に比べるとかなり狭かった。
小さな机と本棚、そしてソファベッドが一つあるだけだ。隣には簡易のシャワールームがあり、聖殿に泊まり込むときなどにオスカーはよく利用していた。
だが、彼が聖殿に泊まり込むときは、大抵睡眠などとらないので、ベッドは用意していなかった。このソファベッドにしても、何日も泊まり込むときに数時間仮眠をとるために利用するだけなので、まだ新品同様と言ってもいいくらいだ。
弾力のない、固いソファにロザリアを降ろすと、オスカーは苦笑した。
「すまない。こんな場所しか用意できなくて……」
するとロザリアは、きょとんとした表情を浮かべ、ついでクスクスと笑いだした。
「どうした?」
オスカーが怪訝そうに問い掛けると、ロザリアは呆れたようにオスカーを見上げた。
「だって……こんなに余裕のない貴方を見るのは初めてなんですもの。貴方も人間だったんだと思ったら……なんだかおかしくて」
「おいおい」
ロザリアの言葉に溜息をつくと、オスカーはロザリアの隣にどかっと座り込み、彼女の顔を覗き込んで眉をひそめた。
「君は一体、俺をなんだと思っていたんだ? 人間じゃなければ、俺は化け物か?」
「まさか。でも……それに近いかもしれませんわね」
茶目っ気たっぷりに答えると、ロザリアは楽しそうに微笑んだ。そんな彼女を恨めしそうに眺めていたオスカーだったが、やがて軽く笑うとロザリアに向き直り、彼女の頤にそっと右手を添えた。
「まったく……誰の所為で俺の余裕がなくなったのか……忘れないでくれよ」
「少しは自慢してもよろしいかしら。あのプレイボーイの炎の守護聖から余裕をなくすことができたんですもの」
ふふっ、とロザリアは悪戯っぽい瞳をオスカーに向けた。するとオスカーは、目を細めて薄く笑い、彼女の顔に唇を寄せながら囁いた。
「口の減らない補佐官殿だ。そんな事ばかりいう口は、しっかりと塞いでやらないとな」
先程は、おびえて引っ込めるだけだったロザリアの舌は、今度はオスカーの舌の動きに応えるように、拙いながらも懸命に答えてきた。それがいじらしくて愛おしくて、オスカーは夢中でロザリアの唇を貪った。
ロザリアの唇を味わいながら、オスカーは腕をゆっくりとロザリアの背中に回し、ドレスのファスナーに手をかける。それをゆっくりと下に降ろすと、ロザリアが一瞬身体を強ばらせた。
だが、それを忘れさせるように、オスカーが彼女の舌を自分の舌で強く搦めとると、すぐにロザリアの身体から力が抜けた。
ファスナーを腰まで降ろすと、オスカーはロザリアにキスをしたまま彼女の身体をゆっくりと後ろに倒し、ソファベッドに横たえながら肩からドレスをするりと脱がせた。
啄ばむようなキスを何度も繰り返しながら、オスカーは丁寧にロザリアの身体からドレスを剥ぎ取っていく。ロザリアは夢中でキスに答えながら、オスカーの巧みな導きであっさりと白い肌をさらけ出した。
ようやくオスカーは身体を起こし、上着を素早く脱ぎ捨てて上半身を顕にする。
ロザリアはキスの余韻に酔ってぼうっとしていたが、オスカーが自分に覆いかぶさってきた時、その逞しい上半身が視線に入って顔を真っ赤に染め、思わず顔を背けた。
「……どうした?」
オスカーの声が耳元で響く。いつもよりもずっと甘く感じるのは、ロザリアの錯覚だろうか。
「……な、なんでもありませんわ」
それでもロザリアは、心臓の鼓動を聞かれたくなくて、慌てて両手で自分の胸元を覆った。
するとオスカーは怪訝そうな表情を浮かべたが、すぐに軽く笑うとロザリアの額に軽くキスをする。そして唇をこめかみから頬へと移動させ、ロザリアの耳元にたどり着くと小さく呟いた。
「……ロザリア」
名前を囁かれただけなのに、ロザリアは顔から火が出るのではないかと思って狼狽した。と、次の瞬間、オスカーはロザリアの柔らかい耳朶をそっと口に含んで軽く歯を立てた。
「んっ!」
ロザリアの身体がぴくりと反応する。その反応にオスカーは笑みを浮かべると、ゆっくりと唇を滑らせ、ロザリアの白いうなじに軽く何度もキスをする。
その度にロザリアの身体は微かに震える。顔を見れば、眉をひそめて唇をぎゅっと噛みしめ、声を漏らさないよう必死で我慢している。
その様が可愛らしくて、ついオスカーは意地悪をしてみたくなる。
白いうなじに唇ではなく舌を這わせてみた。何度も味わうように舐めあげると、ロザリアの噛みしめた唇から吐息ともつかない声が漏れ始めた。
するとオスカーは身体を微かに起こし、胸の前で組み合わせていたロザリアの腕をそっと掴んだ。
「あ……」
ロザリアが切なげに目を開け、オスカーを見上げる。その瞳はすでに潤んでいた。
「……もう、隠す必要はないだろう? 君はこんなにも綺麗なのに」
言うとオスカーは優しく微笑み、ロザリアの腕をゆっくりと外させた。オスカーの目の前に、白くてきめ細やかな肌の二つの膨らみが現れ、そして微かに揺れた。
しばらく感嘆の眼差しでそれを見つめていたオスカーだったが、やがてロザリアの腕を掴んでいた手を外し、彼女の鳩尾の辺りに両手をそっと乗せると、肌をなぞるように手を上に移動させ、柔らかな双丘を大きくて逞しい手ですくい上げるように覆った。
そして、ゆっくりと手を動かし、まるで壊れ物を扱うように優しく揉みしだき始めた。
それはオスカーの手の平にぴったりと吸い付くようで、彼の手の動きに合わせて自在に形を変えた。やがて、彼の手の平の中に納まっていた膨らみの先端が、固さを持って彼の手をつんと突き上げ始めた。
「あ……んっ」
ロザリアはオスカーの愛撫を受けている胸の膨らみを中心にして、身体中がジンジン痺れてくるのを感じていた。それをなんとかしたくて、思わず口を開くと、まるで自分のものとは思えない淫靡な声が口から零れて驚愕した。
驚いて目を開けるロザリアを見下ろし、オスカーは優しく微笑んだ。そして涙に潤む彼女の目元にそっとキスをすると、安心させるように囁く。
「大丈夫……我慢しなくていい」
「……こんな感じ……はじめて」
「……いやか?」
オスカーが手を止めて問い掛けると、ロザリアは小さく首を振った。
「いやとか、そういうのとは違うような……なんだか、自分が壊れてしまいそうで……怖い」
「……ロザリア」
「でも……わたくし、貴方を感じていたい」
言うとロザリアは、投げ出していた腕をすっと持ち上げ、オスカーの方へ伸ばして彼の首に巻き付けた。
「オスカー……怖いけれど…もっと貴方を、感じたいの」
真っ直ぐに彼を見上げて、ロザリアはにっこりと微笑んだ。
その微笑みを見たオスカーは、ロザリアの頬に手を添え、軽くキスをする。そして安心したように目を閉じるロザリアを見上げると、再び彼女の白い膨らみに手を伸ばし、思いをぶつけるように強く揉み立てた。
そして、すっかり固くそそり立った二つの桜色の蕾を、それぞれ人差し指と親指でそっと摘み、指の腹で何度も扱き上げる。
「ん……いた……い……」
ロザリアがその刺激に堪え兼ね、眉をひそめてオスカーに抗議した。するとオスカーははっと我に返って指を離すと、赤く熱を持った蕾をそっと口に含んだ。労るように優しく舌を搦め、弾力を味わうように甘噛みをし、力強く吸い立てた。