「お帰りなさい、ジェイドさん!」
振り返ったアンジェリークは、嬉しそうな笑顔を浮かべて手を大きく振った。彼女の前に駆け寄ったジェイドは、中身がアンジェリークに見えるように、手にしていたカゴを少し斜めに傾けてみせた。
「隣村で畑仕事を手伝ってあげたら、こんなに沢山もらったんだ」
「わぁ、美味しそうなオレンジ……これだけあると、スウィーツもジャムも作れちゃいますね」
「そう言うだろうと思って、卵や小麦粉もわけてもらってきたよ」
にっこりと笑うジェイドを見上げ、アンジェリークは驚いた表情を浮かべた。だがすぐに相好を崩すと、口元に手を当ててくすくすと笑いだした。
「ジェイドさんってば、準備が良すぎですよ」
「それって褒め言葉?」
「ええ、もちろんです」
笑いながらうなずくアンジェリークに、満足そうな笑みを返すと、ジェイドは彼女の手を取って歩き出した。
「美味しいケーキが焼けたら、久しぶりに陽だまり邸へ行ってみないかい?」
「ええ、行きたいです。レインやヒュウガさんにも連絡して、来れるようなら来てもらいましょうよ」
「そうだね。またみんなでテーブルを囲んで、二人で作ったスウィーツを食べてもらおうか」
「そうですね!」
二人で手を繋いで歩きながら、ジェイドは思っていた。レインやニクス、ヒュウガが言っていた「その時が来たらわかること」とは、もしかしたら今この瞬間のことなのかもしれないと。
アンジェリークと共に生きていく。
それはどんな神様にも起こせない、二人だからこそ起こせた奇跡なのだからーー。