「ああっ!」
いつもとは違う緩やかな速度で胎内を行き来する猛りに、ほたるは焦れたような吐息を漏らした。どうすれば気持ちがいいかなど探る余裕はなく、ただ腰を上下させるだけで精一杯で単調な動きを繰り返すだけだった。 すると信長が呆れたように息をつき、ほたるの乳房の先をきゅうと両手で掴んだ。
「きゃあっ!」
「そんな動きではとうてい満足できぬぞ。お前とて、だいぶ焦れておるようではないか」
言いながら指を擦り上げ、ほたるが身をよじるのを楽しげに見た信長は、すぐにその手を離してしまった。
「あ……っ」
名残惜しげな声を漏らし、ほたるは恨めしげに信長を睨んだが、すぐにまた腰を揺すり始めた。
「ん……っ、んん……っ…………あ、っ……」
自分の腕の中で懸命に身体を動かすほたるを、信長は感慨深げに見おろしていた。
ほたるを妻に迎えてより、幾夜共に過ごしたか数えてはいないが、いまもなお彼女は、初めての夜となんら変わらず初々しいままだ。確かに信長に抱かれた最初の夜に、痛がったり苦しがったりと大騒ぎした時とは比べるべくもないが、その時ですらほたるは懸命に信長に応えようとしていた。そんな彼女のいじらしさは、信長によって女の悦びに目覚めた今も、まったく変わった様子はない。
「あ……んんっ……」
一息ついたほたるは躊躇うことなく信長の肩に触れ、顔を胸元に摺り寄せて、また腰を振り始めた。
「ほたる……余が愛しいか…?」
耳朶を甘噛みして問うと、ほたるの中がきゅうと収縮した。その刺激に信長が息を吐くと、ほたるはうろんげな瞳を上げて口を開いた。
「信長様……お慕い申しあげてっ、おり、ます……っ」
言って再び瞳を閉じ、緩やかな刺激に身を任せ始めたほたるに、信長は思わず息を飲んだ。
最初こそ余裕を持って笑いながら見ていた信長だったが、いくら稚拙でも時間をかけられればそれなりに感じるものだ。現にほたるはいつの間にか息を荒げて、時折極まったような吐息を漏らし始めている。 なにより愛しい女が目の前で、我を忘れたように淫らな行為を見せつけているのだから、それは拙い行為などよりも遥かに官能的で、信長の脳裏と猛りを刺激するには十分だった。
「あ…………っ……」
腰を落としたほたるが切なげに息を漏らし、喉を仰け反らせたのを見ていた信長は、ついに我慢の限度を超えたようにほたるの肩を掴むと、そのまま床の上に押し付けた。
「きゃ!」
いきなり床に押し付けられたほたるは、気怠げに目を開けて信長を見上げた。半開きの唇はつやつやと紅く、それが白い肌の中で際立って見えた。たまらずその唇にむしゃぶりつき、柔らかな胸の膨らみを絞るように揉み上げると、ほたるの中に埋めた自身がきつく締め付けられた。
やがて唇を白い糸を引きながら離した信長は、潤むほたるの目を覗き込んで掠れた声を漏らした。
「ほたる……余もお前が愛おしい。お前は余に、心から人を愛する喜びを教えてくれた。慈しみ、労る気持ちを思い出させた……お前は何物にも代えがたい、余の宝だ」
「信長様……」
ほたるの額に額を押しつけ、信長はそっと目を閉じた。
互いの額はとても熱かったが、それが己の熱なのか彼女のものなのか、もうわからなかった。 熱に浮かされたような熱い息を吐いて、信長はゆるりと顔を上げてほたるをじっと見つめた。そんな信長を同じ熱い瞳で見つめ返したほたるは、やがて微かに笑むと信長の首に腕を廻した。
「お慕しております……この世のなによりも、誰よりもあなたが好きです」
「ほたる……我が半身。余と解け合い、ひとつに戻ろうぞ」
そう言うと信長はほたるの足を掴んで大きく開かせ、腿を掴んで強く引き寄せた。胎内の奥深くに猛りを挿入されて、ほたるは小さく叫ぶと信長の首に廻した手に力を込めた。
「あっ、あっ、あっ! や、ああっ!」
緩やかだった先ほどまでとはまるで違う、奥を突き破らんとするばかりの激しい突き上げに、ほたるは背を仰け反らせて何度も愛しい人の名を掠れた声で呼んだ。
「のぶ、ながさま…っ!の……ぶながっ……さ、まぁ……」
甘い呼び声に信長は、ほたるの身体をぎゅうと抱きしめて応えた。名を呼び返す代わりに彼女の胎内を愛し、想いの丈を激しく打ち付けた。
やがて信長の目蓋の裏がチカチカと白く光り始めた頃、先に高みに達したほたるの膣がきゅうきゅうと愛おしげに信長を締め付けた。
「あ……あ、あ……っ……」
戦慄きながら声を漏らして、足をぴんっと床に突っ張っるほたるを腕の中に閉じ込めた信長は、まだ痙攣している胎内を二度三度と強く突き上げて、ほたると同じ高みに昇りつめた。
「…っ……」
小さくうめいて力を込める信長の腕に抱かれ、ほたるはぴくりと身体を震わせた。幾度も注がれる信長の熱い想いが、いつか私の中で実を結びますようにと願いながら、ほたるは愛しい夫の頭を掻き抱いた。